NIDSコメンタリー 第282号 2023年10月26日 危機交渉における「弱さを偽る」戦略(上)——理論的前提とロシア=ウクライナ間の危機交渉の事実関係

政策研究部防衛政策研究室 研究員
本山 功

はじめに

本稿は、2022年2月に始まったロシアによるウクライナへの全面侵攻(以下、ウクライナ侵攻/侵攻)について、その開始直前の危機交渉にみられた特徴と戦略的背景を説明することを試みる。ロシアは、その侵攻に先立って、2021年秋頃からウクライナとの国境地帯に軍を集結させ緊張を高めてきた。しかしながら、ロシアはその侵攻開始まで侵略的意図を否定し続け、かつ、ウクライナはもちろん、交渉相手とみなしうる米国やNATOに対しても、明確で最大限の脅しを発することはなかった。このことは、戦争を交渉の失敗と捉える国際政治学や強要・抑止論における見方を単純に当てはめれば、不可解なことといえる。本稿は、このような一見不可解にみえる現象の背後にある戦略的論理を理論研究の紹介を通して読み解き、侵攻直前のロシアの行動を理解する一助となることを企図する。

本稿では、ウクライナ侵攻直前の時期にロシアとウクライナ、又はロシアと米国・NATOとの間で行われた危機交渉が、なぜ明確な脅しを欠いたものであったかについて、国際政治学における合理的選択論に基づいた理論を用いて説明しようと試みる。ウクライナ侵攻が我々の社会に与える影響は大きく多岐に及ぶため、この戦争に関する研究は、国際政治研究や地域研究の文脈に限っても、多様な問いとアプローチをもつ。研究者たちが掲げる代表的な問いの対象としては、例えば、戦争の原因[1]、戦争の様態[2]、戦争が他地域に与える影響[3]、戦争の将来(激化・拡大や終結)[4]などが挙げられる。また、それぞれの問いに答えるアプローチとしても、ロシアやウクライナなど各地域の抱える歴史的経緯や、近年の政治・社会的背景から答えようとするものや、国際政治一般にかかる理論を用いて説明しようとするものなどが存在する[5]。その中で本稿は、侵攻開始前の交渉におけるロシアの戦略について、国際政治の理論の一つである危機交渉の理論による解釈を行う。そのため、この戦争の原因や様態、将来の見通しなどについて直接的に扱うわけではないし、ロシア・ウクライナ地域が抱える歴史的背景についての考察にも限界がある。しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻を非合理的だと解釈したり、交渉理論による説明の限界を示す事例だと解釈したりするのではなく、抑止論や強制外交論を下支えする合理的選択論の範疇でロシアの行動を統一的に説明できることを示すという点で、本稿は一定の役割を果たす。

本稿は以下のように構成される。まず第1章において、戦争を交渉の失敗と捉える国際政治学上の見方を紹介し、その見方によれば強制外交では脅しの信憑性が問題となることを説明する。さらに第2章において、国際危機に臨む国家が脅しの信憑性を確保するためにとりうるシグナリングの手法について説明する。次に第3章では、今般のウクライナ侵攻直前の事実関係を概観し、ロシアによる明確な脅しを欠いたまま交渉が行われたことを確認する。そして第4章では、そのようなロシアの行動は、第1章や第2章で説明した理論を単純に援用すると不可解なものと解釈できることを示す。これに対して、後編(下)の第5章では、合理的選択論が、そのような一見不可解な行動についても統一的に説明するような論理を提供していることを理論研究の紹介を通じて示し、最後に第6章において、その論理を今般の事例に当てはめてロシアの行動を解釈する。

第1章 危機交渉の理論

戦争と交渉

現代の国際政治学には、国家等のアクターのもつ選好とアクター間の戦略的相互作用を分析の主眼におき、国際社会にみられる戦争や平和、外交、経済関係、国際組織や制度といった様々な事象を、各アクターが互いに影響を及ぼし合いながら下した戦略的な意思決定の産物と捉えるような枠組みが存在する[6]。この枠組みの下では、国際政治は希少な財を巡る争いと捉えられ、各国家は、自身の望むかたちで財が配分されるよう交渉(bargaining)を行っていると認識される[7]

このような認識のもつ特徴として、戦争の勃発を、政治の失敗としてではなく交渉の失敗として捉えることで、平時に行われる政治との間に連続性を見出していることが挙げられる。このような見方は、古典的には、カール・フォン・クラウゼヴィッツ(Carl von Clausewitz)が戦争を「政治におけるとは異なる手段をもってする政治の継続」[8]と表現したことにまで遡れるが、冷戦期の戦略家であるトマス・シェリング(Thomas C. Schelling)が「ほとんどの紛争状況は本質的に交渉状況である」[9]との考えに基づく研究を始めた頃から、現代の社会科学的研究にも用いられるようになった。この考えに基づいた紛争研究では、国家間の相互作用をゲーム理論などに立脚した交渉モデルを用いて分析することによって、戦争の開始、遂行、終結などに関する問いに答えようと試みる。なお、ここで用いられる交渉という語には、その日常的な用法でしばしば想起される「話し合い」という意味に留まらず、後述のようなパワーの存在を背景とした(日常語でいう)「脅迫、恐喝」という意味も含まれうる。

戦争を交渉の一形態として捉える見方では、次のような命題を議論の出発点とすることが一般的である。すなわち、戦争遂行にかかる莫大なコストを考慮すると、合理的なアクターにとって、戦争で対峙する両者ともが戦争よりも好ましいと捉えるような合意が本来存在する、というものである[10]。戦争は、財政や経済上の費用が嵩むというだけでなく、人々の生活や尊厳、時にはその命までも損なわせるという意味で、多大な社会的コストを強いるものである。このような莫大なコストを考えると、領土や資源、又はなんらかの政治的権益を得たり失ったりするような戦争の結果について、そこへ交渉によって戦争なしで到達できるのならば、勝者も敗者もそれを受け入れるはずである。このような意識のもとで、なぜ戦争が勃発し、継続し、終結する(しない)のかを探る研究は、どのような要因が平和的交渉解への合理的な到達を阻害するのかを探索してきた[11]。それらの研究は、戦争の発生や抑止の失敗を非合理的決定の産物であるとは見なさず、合理的に戦争が発生しうる環境や条件を模索するものである。

交渉による平和解への到達を阻害する要因の一つとされるのが、情報の不完備性である[12]。国際関係において他国の意思や能力を正確に読み取るのは困難である。そして、その読み違えは、各国が抱く「戦争の結果」についての期待や認識に齟齬を生むことになる。そして、各国の「戦争の結果」についての期待は、合意可能な交渉解を検討するうえでの土台となるものであるため、その期待についてのズレは、交渉解の成立を阻んでしまうこととなる。

強制外交

このような国際関係における情報の不完備性の問題を考えると、外交によって国家の意思を正確に伝達することで、不合理な戦争を回避しようとする考え方には一定の説得力を見出せる。その中でも特に、国際関係における脅しや軍事的威嚇に着目して、その意図が正確に伝わらないために戦争を回避することができないとするのが強制外交論である[13]

強制(coercion)とは、脅しによって相手の行動を変化させようとする政策のことであり、たいてい軍事的威嚇を伴う。強制を試みる国家は、要求に従わなければ被害や損害を与えるという脅しを他国に対してかけることで、他国に本来望まなかったような行動をとらせようとする。シェリングは、国家による軍事力の使い方を「力づく(brute force)」と「強制」とに分類して、武力を直接使用して目的を達成する方法(前者)と、武力を脅しのための手段として間接的に用いる方法(後者)を区別した[14]。なお、強制の政策はその目的を現状維持とするか現状変更とするかによってそれぞれ抑止(deterrenc-e)と強要(compellence)に分類されるが[15]、本稿では次節以降、現状変更を試みる国が武力行使の脅しを行う強要の側面を取り上げる。またその際、現状変更のために脅しをかける国を「挑戦国」、脅しをかけられた現状維持を試みる国を「防衛国」と呼ぶことにする。本稿で強要を取り上げるのは簡単のためであるが、抑止と強要は根本的には同質であり、後述の信憑性や決意の伝達というテーマは抑止においても議論の中心となる。

このような強制の概念を念頭におくと、国家同士が希少な財を巡って繰り広げる交渉において、ある国が軍備や武力を用いて他国を傷つける力(power to hurt)は、その国に交渉力(bargaining power)をもたらす源泉になると考えられる[16]。ある国が脅しによって相手国の行動を望み通りに変えた場合、その強制は成功したとみなされる。強制が成功するためには、相手国が、①要求に従わなかった場合には脅しが実行されると信じていることと、②脅しが実行され戦争に至るよりも譲歩して財を諦める方が好ましいと考えていることが必要である。すなわち、強制は、脅しを受けた相手国をして戦争を忌避させることで譲歩を引き出そうとする政策であり、戦争によって相手国を傷つける力がその交渉力を下支えしているのである。

危機交渉

戦争や武力行使の脅しを背景とした交渉が国家間で行われ、まだ実際の戦争には至っていないような状況を国際危機と呼び、そこで行われる交渉を危機交渉(crisis bargaining)と呼ぶ。戦争と平和の関係を連続的に捉える前節での認識に基づけば、危機交渉は、両者の際(きわ)にあたる部分で行われるといえる[17]。このような危機交渉において国家は、軍事行動や脅し、譲歩などの手段を通じてコミュニケーションをとるものと理解される[18]

そのコミュニケーションにおいて重要となるのは、前節の強制外交の考え方に基づけば、脅しの信憑性(credibility)をいかに確立するかという点である。信憑性は、主に抑止論の文献で発展してきた概念であり、パトリック・モーガン(Patrick M. Morgan)によれば脅しが「信じられている質」のことである[19]。ある脅しが機能するためには、要求を受け入れなければその脅しが本当に実行され受け容れがたい危害が加えられるであろうと、脅された側に信じてもらう必要がある[20]。したがって、脅しの信憑性の源泉となり、ひいては危機における交渉に成功をもたらすのは、(脅しを堅持して実行したり、脅しに抵抗したりすることで結果的に)戦争に至ることも辞さないという国家の政治的意思の強さである。この政治的意思は決意(resolve)と呼ばれ、その国の相対的な軍事的能力と、危機の争点となる課題についてどの程度の価値を見出しているかという2要素によって決められると考えらえる[21]。この決意が相手国に伝わることで脅しの信憑性が確保されて、ひいては譲歩を引き出すことに繋がるため、危機交渉における各国は、武力行使も辞さないという決意を競い合う(contest of resolve)ことによって交渉に競り勝とうとするのである[22]。そこで各国は、先述の危機交渉におけるコミュニケーションを通して、自国の決意を相手国に伝達して脅しの信憑性を確保しようとするのである。

この信憑性を確保しようとする試みは、2種類の困難に直面する[23]。第一の困難は、脅しをかけた挑戦国が本当に武力行使の意図をもつのかを、脅しをかけられた防衛国からは直接観測できないことである。国際危機において、相手国に武力行使の意思があるか、十分な軍事的能力を持っているかという情報には不確実性が付きまとう。そして、戦争が一般に大きなコストを伴う悲惨な行為であることを踏まえると、挑戦国が防衛国に対して、その戦争のコストやリスクを負ってでも係争中の財を勝ち取りたいという選好を持っていることを十分に示せなければ、脅しの信憑性が確保されないのである。第二の困難は、この不確実性の存在によって、挑戦国が、本当は武力行使の意図がないにも拘らず、譲歩を引き出すためにその決意があるように偽る誘因を持つということである[24]。ここで仮に、挑戦国が、戦争コストを受け入れるほどの高い価値を係争中の財に見出しておらず、したがって武力行使の決意がない場合を考える。この場合でも、挑戦国が決意をもつふりをし続け、(第一の困難で議論した通り、防衛国は挑戦国の決意の有無を直接観測できないため)防衛国がそれを信じて譲歩してくれれば、結果的に危機が戦争に繋がることはなく、挑戦国は戦争コストを負わずに有利な交渉解を得られるのである。こうして、危機交渉において対峙する国のうち、決意の相対的な強さが勝る方の国が相手に譲歩を強いることができるとすれば[25]、決意の有無にかかわらずそれをもっているように偽る誘因が生まれるのである。

国際危機に臨む国家は、武力を背景とした脅しによって目的を達成しようとするが、国際関係に内在する情報の不確実性や戦争コストの存在によって、武力行使の決意を相手国に確実に伝えられなければ、その脅しの信憑性を確保することができない。さらに、そのような不確実性に起因して、脅しをかけようとする国には武力行使の決意を「装う」誘因が働くため、脅しは本気であると単に伝えるのみではその信憑性を確保することはできないということである。

第2章 国際危機におけるシグナリング

このような脅しの信憑性に係る困難を解決するために、国家は、危機交渉におけるコミュニケーションにおいて武力行使の決意をもつ国家をそうでない国家からを差別化するようなシグナルを発することで、自国の脅しがカラ脅しでないことを示そうとする[26]。そのような手法はコストのかかるシグナリング(costly signaling)とよばれ、少なくとも3種類のメカニズムが存在し、それぞれ、埋没費用、瀬戸際外交、自己拘束と呼ばれている[27]。現実に行われる種々のシグナリングには、これらのメカニズムのうち複数の性質を兼ね備えるものが多く存在するが、本節ではまず理念型を考えることでそれぞれの性質の違いを検討する。

埋没費用のメカニズム(sunk costs)は、係争中の財へ高い価値を見出している国家でなければ支払えないような負担を自ら負うことによって、戦争コストを負う決意がない国家から、決意をもつ国家を差別化しようとする試みである[28]。すなわち、戦争コストを負ってでも財を確保するために脅しを実行するか、戦争コストを回避するために脅しを撤回して財を諦めるかという最終的な意思決定に先立って、予め莫大な負担を必要とする行動をとってしまうことで、財を巡って争う決意を伝達しようと試みるのである。そのようなコストを支払うために、危機に臨む国家は、予備役兵を含む大規模な軍事動員や部隊展開を行ったり、軍備拡大を行ったり、核兵器を外国展開して維持したりする[29]。これらは単に財政的な負担を要するのみならず、経済・社会的コストも引き起こすと考えられる。例えばイスラエルにおける予備役兵の全面動員は経済活動へ与える影響が非常に大きく、長期間維持することが困難であると考えられることから、危機における情報伝達効果が高いとされている[30]

瀬戸際外交のメカニズム(brinkmanship)は、核による脅しの信憑性が疑問視される中で考案された考え方であり、「偶然に委ねる脅し」[31]によって一見不合理にみえる脅しの信憑性を確保しようとする試みである。前節での記述の通り、脅しに信憑性の問題が伴う原因の一つとして、その実行には多大な戦争コストがかかることが挙げられる。この問題は核兵器の登場と第二撃能力の確立により深刻化した。つまり、相互確証破壊の状況下では、ある国による核使用は(相手国からの報復によって)その国自身への壊滅的被害をもたらすものとなるため、核による脅しはその実行についての信憑性をもたなくなるということである。この信憑性の問題を解決すると考えられたのが、国際危機において、各国が一歩ずつ核戦争の「瀬戸際」へと近づいていくような措置を取り合うことで自国の決意を伝達し合おうとする瀬戸際外交の政策である。先述の「偶然に委ねる脅し」はその中核となる概念であり、危機において各国の指導者が、自身の意思決定の手を離れて、意図せざる結果として偶然核戦争へ至ってしまうような状況を、意図的に作り出すことで相手国への信憑性をもった脅しが実現するというものである。すなわち、核攻撃の脅しは、相互確証破壊の状況下では自国にも破滅をもたらすため意図的には実行されないと考えられうるが、期せずして核交換へ至ってしまうような危険な状況を作り出すこと自体は意図的に実行可能だということである。こうして、各国は瀬戸際外交を展開し、互いに競ってリスクをとりあうことで自国の決意を示して、国際危機に競り勝とうとするのである[32]

自己拘束のメカニズム(tying hands)は、後に撤回しにくいような脅し方をすることで、その信憑性を確立しようとする試みである。代表的な具体的として、国際危機において公然と脅しを行うことで、のちにその脅しを撤回した場合に指導者が罰されるような環境を作り出し、脅しが実行される信憑性を高めようとする手法が挙げられる。脅しによって危機を作り出した指導者はその行動にアカウンタビリティを負い、脅しを実行できなかった場合には自身の能力や指導力に対する評価に悪影響を負うと考えられ、この悪影響を観衆費用(audience cost)と呼ぶ[33]。脅しを実行できずに引き下がった指導者が罰を与えられる仕組みは、一義的には国内観衆が国内政治過程を通して(民主国の場合は国民が選挙を通して)実行するものと考えられるが、国際観衆たる諸外国からの評判が損なわれるという経路で実行されるとの考えも存在する。また、冷戦期の西ベルリンのような攻撃を受ける可能性のある重要地点に同盟国の小規模な部隊を駐留させる、仕掛け線(trip wire)と呼ばれるような政策も、同盟国が自国の拡大抑止の脅しに信憑性を与えるような自己拘束的行動の一種と理解される。

これらの埋没費用、瀬戸際外交、自己拘束のメカニズムは、先述の通り、すべてコストのかかるシグナルによって決意を示そうとする試みであるが、それぞれ以下のような観点から対比することができる。第一に、コストを支払う条件やタイミングという観点を検討する。埋没費用型では、強制の成否や戦争の有無などの結果にかかわらず、危機の起点となる脅しに伴って「事前に」コストが支払われ、挑戦国の負担となる。これに対し、自己拘束型では、挑戦国の指導者が実際にコストを負わなければならなくなるのは脅しを実行できず強制に失敗した場合のみであり、強制が成功した場合はもちろん、危機が戦争へと至ってしまった場合でも(戦争コストは負うものの)観衆費用を負うことはないことから「事後」的なコストであるといえる。また、瀬戸際外交型は、戦争コスト自体を確率的に背負うことでコストのかかるシグナルを発しようとするものであることから、実際にコストを支払うのは、強制の成否にかかわらず危機が戦争に至ってしまった場合のみといえる。

第二に、それぞれの手法がどのような国に用いられるかという点を検討する。埋没費用型の脅しは、「決意をもつ国」がその決意を伝達するのに適した手法といえる。決意をもつ国は、脅しに伴って大きなコストを事前に支払うことで、大きなコストを負ってでも得ようとするほどに高い価値を係争中の財について見出していること示す。決意をもたない国は、すなわち財に対する価値評価が低いため、大きなコスト負担に耐えられず、この手法をとることに適さない。そのため埋没費用型のコストの支払いが決意をもつタイプともたないタイプを差別化できるのである。このように、埋没費用型の脅しが単に、決意をもつ国が信憑性をもってそれを伝達できるようにするための手段である一方で、自己拘束型の脅しは、決意をもたない国が決意をもつような環境を作り出すこともできる手法といえる。公然の脅しによって指導者が観衆費用を負うということは、言い換えれば脅しを撤回する際の期待利得を下げるということであり、脅しを実行するという選択肢の相対的な魅力を高める行為といえる。自己拘束型の脅しは、自身のインセンティブを操作することでその信憑性を高める手法であり、決意をもたなかった国が、危機を通して決意をもつ(すなわち、引き下がるよりも脅しを実行して戦争を選びとるような選好をもつ)に至る場合があるのが特徴といえる。これらに対して瀬戸際外交型の脅しは、危機に臨む各国の相対的な決意の高さを競い合うものであり、決意をもつ国にとって特に有利であるという意味で埋没費用型の脅しに近い性質をもつが、決意を持たない国にとって元より実行不可能な埋没費用型と異なり、決意をもたない国がある程度実行可能な政策であるともいえる。

第3章 ロシアによるウクライナ侵攻直前の経緯

以上でみてきた国際政治学における交渉の考え方は、今般のウクライナ侵攻直前の各国関係についても適用できる。本章では、侵攻開始直前の事実関係を整理することで、ロシアからウクライナや米国・NATOに対して明確な脅しがなかったことを確認する。なお、以下の情報のうち、現在も続くウクライナ侵攻の当事国や関係国の指導者などの公式な発言やメディアへのリークについては、その発信が意図的で選択的である可能性があることを付記しておく。また、肩書は当時のものである。

ロシア・米国(軍事的緊張の高まりとロシアによる侵略意図の否定)

ロシアは、2014年にクリミア侵攻を行った後、東ヨーロッパ地域での軍の集結や演習を繰り返してきた。その中でも、2021年の春にはとりわけ大規模な軍の集結が行われた。4月には、ウクライナとの国境付近や占領地域に集結したロシア軍が10万から12万人に達したと報じられた[34]。ロシアはその目的を「抜き打ち検閲」のためであると説明したものの、専門家らは部隊の動きが現実の軍事行動の準備を示していると指摘し、その目的が強制であると分析した[35]。この動きによって高まった軍事的緊張は、ロシアによる抜き打ち検閲終了の発表と部隊の一部撤収により、同年夏前には鎮静化した。

しかしながら、2021年秋頃にはロシア軍が再びウクライナの国境地域に集結し始めた。米国では、ロシアが当初より実施を予告していた演習の終了後にも部隊を引き上げないことを受けて、10月には情報コミュニティから国家安全保障会議(NSC)に対して、ロシアによるウクライナへの侵攻の可能性が報告されている[36]。その後、米国はロシアの侵攻意図を見抜いていると示す「情報攻勢」[37]を行うようになり、10月末から一般にも軍事的緊張の高まりが報じられるようになったほか、12月にはメディアへの情報開示を通じてロシアによる侵攻の可能性を指摘するようになった。その後も、米国政府はロシアに対して侵攻の招く結末を警告しつつ、2022年1月には、バイデン大統領が公式にロシアによる侵攻の「明らかな可能性」[38]を明示した。特に、この1月から2月24日の侵攻開始まで、米国政府は、収集したロシア軍の動きに関するインテリジェンスの公開や、国務省によるファクトシートの公開などによって、ロシアによる侵攻の可能性が高いことを訴え続けた[39]

このような米国政府やメディアによる言説に対して、ロシア政府当局は、一貫して侵攻の意図を否定し続けた。2021年12月2日の米ロ外相級会談後の共同記者会見では、将来的に侵攻が実現すれば経済制裁を課すこと示唆したブリンケン国務長官に対して、ラブロフ外相は「ロシアは戦争を望んでいないがNATOの拡大が安全を脅かしているのだと応酬」[40]した。2022年1月に偽旗作戦の計画が米国によって暴露された際にも、ロシアのペスコフ大統領府報道官が偽旗作戦や侵攻の意図を否定した[41]。さらに、ロシア国内のメディアも、西側諸国が主張するロシアの脅威は架空のものであるという言説や、ウクライナこそが地域での紛争拡大を引き起こそうとしているという言説を流布し続けた[42]。さらにロシアは、2021年12月に米国とNATOに向けて行った要求が2022年1月に米国によって拒否された(米国は、主な要求であったNATOの不拡大を明確に拒否し、ミサイル配備制限等の措置について交渉が可能であるとした)のちにも、ペスコフ報道官が「楽観できる余地を残さなかった」としつつも「対話を継続する見通しは常にあり、それは我々とアメリカの両方の利益になる」[43]と述べたり、ラブロフ外相が「真剣な対話の開始に希望を与える」[44]と評価したりしていた。その後も、2月の侵攻開始までラブロフ外相が侵攻の計画や意図を繰り返し否定したり[45]、米国が在キエフ大使館を閉鎖した後でさえ、外交的解決の余地を残し続ける方針に対してプーチン大統領が「肯定的に反応した」とロシア系メディアで報じられたりした[46]。さらには、侵攻開始の前週にはロシアの国連次席代表(大使)が「これらは全て西側の皆さんの頭の中で起こっている」と述べたり、国防省が「南部・西部軍管区からの兵員が演習を完了し駐屯地へと帰還しつつある」と公表したりしていた[47]。このように、ロシアは、ウクライナへの侵攻意図を否定し続けるとともに、ウクライナを巡る危機は外交手段によって解決が可能であるとの姿勢を繰り返し示していた。

こうして、ロシアからウクライナあるいは米国やNATOに対して、具体的で現実的な要求はなされず、要求が受け入れられなければ侵攻を招くという明確で最大限の脅しも発せられなかった。米国シンクタンクの専門家の中には、2021年12月に米国やNATOに発せられた要求を最後通牒と捉える見方も存在している[48]。実際に、2022年1月に要求が拒否された際には、プーチン大統領がテレビ番組において「適切かつ報復的な軍事技術的措置をとり、非友好的な措置に厳しく対応する」と述べ侵攻の可能性を示唆したことも事実である[49]。しかしながら、プーチン大統領は同時に、「我々にはそうする権利があることを強調したい」[50]と述べており、2021年7月に公表した論文において示した歴史観を繰り返していたに過ぎないといえる。そして、このような歴史観に基づく主張自体は、「挑発的な内容であることはたしかだとしても、ロシアがウクライナに攻め込むと予告するような内容であるわけでもない」[51]と考えられる。さらに、ロシア政府によって侵攻の意図が一貫して否定され続けていたことからも、ロシアは、侵攻を示唆しつつ具体的な要求を発するような脅しは発していなかったといえる。旧ソ連地域を専門とする研究者が、当時、ロシアは軍事的緊張を高めたことにより一定の外交的勝利を得たと認識していたのも[52]、ロシアによる要求が最後通牒的な性格を帯びていなかったことの傍証となりうる。

欧州諸国(外交的解決を模索する独仏)

軍事的緊張の高まりから侵攻の可能性を警告する米国とそれを否定するロシアに対して、欧州諸国の受け止めはまちまちであった。米国から欧州諸国への情報提供は、10月末頃から始まった。イギリス、フランス、ドイツの3か国が、10月末にローマで行われたG20の際にバイデン大統領からある程度詳細なインテリジェンスの提供を受けたほか、NATOに加盟する30か国(当時)は、11月中旬の北大西洋評議会においてヘインズ国家情報長官からロシアによる侵攻を示唆する情報を提供された[53]。しかしながら、フランスとドイツを含む多くの国々は、このような警告に対して懐疑的であった[54]。このような懐疑的態度は、2003年のイラク戦争時から米国のインテリジェンスが政治的操作を受けやすいと考えられていたことに加え、情報提供の直前にあたる2021年8月に行われた米軍のアフガニスタン撤退時に米国のインテリジェンスコミュニティがアフガニスタン政府の持久力を過大評価していたことなどが要因で形成されていたとされる。一方で、イギリスとバルト三国は例外的に、ロシアによる侵攻の可能性を深刻に受け止めたとされる[55]。この、侵攻の可能性に懐疑的なドイツやフランスと深刻な懸念を持つイギリスという構図は、侵攻意図を否定するロシアへの対応や危機へ臨む路線にも違いをもたらした。前者は外交的な努力によって危機を解消しようとする路線に立ち、後者は抑止や武器供与によって侵攻に備える路線に立ったのである。イギリスでは、12月にラダキン国防参謀総長が「ウクライナへの全面侵攻という最悪のシナリオの深刻さは、ヨーロッパでは第二次世界大戦以来見られなかった規模になるだろう」[56]と述べたほか、ロシアによる侵攻意図の否定に対してもトラス外相やウォレス国防長官が反論しつつ抑止を試みる発言を続け[57]、2022年1月にはウクライナへの対戦車兵器の供与を発表した[58]。一方で、フランスのマクロン大統領は、11月から2022年2月までプーチン大統領との電話会談を繰り返し行い、2022年2月の侵攻前にもバイデン大統領とプーチン大統領との首脳会談を提案した[59]。また、ドイツはショルツ首相のもと、天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の認可停止や武器供与を拒み続け、駐米ドイツ大使が本国に向けて「(ドイツが)信頼できないパートナーと見なされている」と忠告するほど消極的な対応をとり続けた[60]

ウクライナ

さらに、侵攻を受ける当事国であるウクライナ自身でさえ、本格的な侵攻の蓋然性が高いと判断していたか定かではない。ウクライナのゼレンスキー大統領は、10月末から11月初旬にかけてスコットランドで行われたCOP26において、米国のブリンケン国務長官からロシア軍の集結や侵攻の可能性について、一対一での情報提供を受けた[61]。その後もウクライナは米国から継続的に情報提供を受け続け、軍事的緊張の高まりを深刻に捉えていた。しかしながら、ロシアによる肩透かしを繰り返し受けてきた経験や、国内的なパニックを引き起こすことによる経済崩壊への恐れなどから、ウクライナから発せられるメッセージは硬軟入り混じる内容となった。ある一方では、ゼレンスキー大統領は、11月頃からロシア軍の動きを警戒したり戦争へのエスカレーションの可能性を指摘したり、戦争が起きた場合にウクライナ軍が抵抗する準備ができているという発言を繰り返した[62]。しかし他方では、2022年1月末には「ウクライナはタイタニック号ではない」と述べつつ、2021年春の危機よりも大きな脅威はないとの評価や、西側諸国の警告により国内がパニックに陥り状況が不安定化することへの懸念を示した[63]。このほかにも、侵攻の危険を否定する発言を繰り返したり、「悠長な」[64]軍の増強計画を承認したりするなど、ゼレンスキー大統領に米国等の警告がどれほど深刻に伝わっていたかは定かでない。

脅しの欠如

以上の侵攻開始直前の事実関係を踏まえると、次のことが明らかになる。第一に、ロシアからウクライナや米国・NATOなどに対して、全面的な軍事侵攻を示唆する明確な脅しは発せられておらず、またその程度が侵攻直前に最大限に達したようには見受けられない。第二に、軍事的緊張の高まりに対する各国の認識は様々であり、米英がロシアによる侵攻の脅威を深刻に受け止めているのに対して、独仏は比較的穏健であり外交的手段で解決できる可能性が高いと捉えていたようである。また、ロシアによる明確な脅しが欠けていたこともあり、ウクライナ自身もロシアのもつ侵攻への決意を完全には信じられていないようであった。

ロシアによる明確な脅しがかけていたという認識は、地域を観測し続けている研究者にも共有されているようである。例えば山添博史(2023)は、軍事的緊張が高まる中でドイツやフランスの首脳がモスクワを訪問して協議を行うなかで「プーチン大統領は、軍事的解決を要するほどの深刻な問題があるという認識を伝えなかった」[65]と評価している。また、小泉悠(2022)も、2022年初頭の段階において「軍事屋」として開戦の可能性を時間の問題だと認識しつつも「ロシア屋」として「プーチンが何をしたいのか未だにつかめずに」おり、彼らの主張が「どうにも抽象的」であったと回想している[66]。廣瀬陽子(2022)は、自身が侵攻開始前に下していた評価について「プーチン大統領が領土的野心を持っていないという前提で、彼の決定を予測していた」[67]と振り返っており、ロシア側の要求が不透明であったことを示している。

第4章 理論の適用

本章では、危機交渉の理論をロシア・ウクライナ間での危機交渉の事例に当てはめて、前章までで説明してきた理論の単純な適用からは、侵攻の直前にはロシアによる明確で最大限の脅しが観測されるはずであることを示す。

ロシアによるウクライナ侵攻を危機交渉の理論から捉えるとき、交渉に関与するアクターや係争中の財が何であるかという問いについては、互いに排反でない複数の答えが並立しうる。まず、戦争の開始直前の交渉を行っていると考えられるアクターは複数存在する。交渉の片方の当事者がロシアであることは間違いないが、もう一方の当事者、すなわち交渉相手は、一義的にはウクライナであると考えらえると同時に、米国やNATOであるとも考えられる。さらに、どのような財を巡る争いなのかという点についても、さまざまな可能性が考えられる。これは、戦争の目的や原因がなんであったかという点と密接に結びついている。例えば、ロシアやその指導者たるプーチン大統領は、NATOの東方拡大やウクライナの「反ロシア」性を問題視していることから[68]、ウクライナのNATO加盟に関する政策や、ドネツク・ルガンスクにおける政策の変更を求めた争いであると認識しているかもしれない。また、ウクライナで民主主義体制が成功することをロシアが脅威と認識したことが戦争原因であると考えれば[69]、ウクライナの政治体制やゼレンスキー政権の存続を巡る争いである考えらえる。さらに、クリミアやドンバスという領土の帰属を巡る争いと捉えたり、戦争目的が時間とともに変遷していると捉えたりする見方[70]からは、係争対象の財が何であったかについてそれぞれ異なる説明がなされるだろう。

しかしながら、本稿にとっては、いずれのアクターによるいかなる財を巡る争いだったのかという点は分析の主眼ではない。本稿の目的は、危機交渉におけるロシアの行動の背景にある論理を理解することであるため、その交渉の対象がウクライナであるか米国・NATOであるか、係争対象となる財が何であったかという点は、(ロシアが一方の当事者であるという点に合意がとれる以上は)分析において決定的な要因ではない。これらが何であったとしても、なんらかの目的を達成するために軍事動員を行い、国際的な緊張が高まり、さらには全面戦争に至ったというロシアの行動は事実として存在しており、これを危機交渉のレンズを通して見ることは可能だからである。

ロシアの目的や想定していた相手がどの国であったかにかかわらず、交渉理論の示唆する通り、強要が成功し交渉によって譲歩を引き出せれば、戦争による目的達成よりも良い結果が得られることは明らかなはずである。軍事侵攻をすること自体が目的であったと考えることは自然ではなく、ロシアが軍事侵攻を強く好む選好を持っていたとしても、それはなんらかの目的達成のために最良の手段が軍事侵攻だと認識していたからに過ぎないといえる。これを踏まえれば、ロシアは強要を成功させるためのコストのかかる脅しを行うはずであると考えられる。すなわち、ウクライナや米国・NATOなど、ロシアが交渉相手とみなすアクターに対して具体的な要求を行い、それらが受け入れられなければ戦争に至るという脅しのメッセージを明確に発するということである。この脅しは、ウクライナとの国境線沿いに軍を集結させたり、実際に戦争遂行に必要となる物資を整えたりすることによって信憑性を裏付けされる。さらに、理論的な予測として、このような脅しは交渉が不調であるほど本格化し、侵攻開始の直前には最大限のものが発せられると考えられる。

このように、合理的選択論に立脚した危機交渉の理論を単純に援用すると、ウクライナ侵攻前に明確な脅しを欠いていたロシアの行動は、一見不可解である。この事実は、ロシアという主体の非合理性や、より一般には国際政治上の問題を合理的選択論で捉えることの限界を表しているという見方を促進しているかもしれない。しかしながら、危機交渉の理論には、このような行動を(合理的選択論の範囲を逸脱することなく)統一的に説明する研究が存在する。後編(下)ではそのような理論研究を紹介し、今般のウクライナ侵攻の事例に当てはめて解釈を行う。

「交渉が目的」か「戦争が目的」か
ロシアによるウクライナ侵攻の開始直前期について危機交渉理論の立場から考えることは、開戦意図を巡る分析について一つの示唆をもたらす。それは、軍事的緊張の高まりに際して開戦の可能性を分析する際に、「交渉目的」か「戦争目的」かを二分法的に論じることはできないということである。また、これは戦争への準備の充実度は必ずしも侵攻への本気度合いを反映していない場合があるという点と密接に関連する。
国内論壇では、ロシア軍集結による軍事的緊張の高まりについての分析が、「外交的勝利を得るための駆け引きの道具と捉え、軍事侵攻の可能性を低く見積もる」見方と「侵攻の準備と捉え、軍事侵攻の可能性をある程度高く見積もる」見方があった、というように対称的な捉えられ方がされる場合がある。例えば、前者のような見方の例として廣瀬陽子(2022)[71]が挙げられる。廣瀬(2022)は、当時の自身の分析について「ロシアは外交的勝利を獲得すれば、軍事侵攻に及ぶことはないと考えていた。」と振り返りつつ、「なお、侵攻が『ある』と事前に予測した論者も少なくなかった。特に、軍事専門家は、ロシア軍の配置からして侵攻が『ないわけない』と考えた人がほとんどだったようだ」としている。実際に、後者のような見方の例として挙げられる小泉悠(2022)は、「ロシアが本気だと考える理由は他にもあった」[72]として、衛星画像によって兵士の集結状況や、普段は使用されていない予備飛行場への戦闘機や戦闘爆撃機の展開状況、野戦病院の多数の設置状況を確認したことをその根拠に挙げている。
侵攻の有無を予測するという観点からいえば、両者の予測には違いがあったため軍の集結を「交渉目的」と捉えるか「戦争目的」と捉えるかは対称的な見方とされるかもしれないが、理論的には両者は整合的・補完的でありうる。危機交渉の理論が示唆するのは、例え軍事的威嚇の目的が交渉による勝利のみであり、実際には戦争をする意図がなかったとしても、交渉での勝利を得るためには本気で戦争をする用意があるように装う誘因が働くということである。本稿第2章で述べたように、軍事アセットの集結や大規模な演習は、威嚇の信憑性を高めるためのコストのかかる脅しの手段であるとも考えられる。そして、その質や量が充実し、実際の戦争を戦う準備が整うほど、威嚇の信憑性を高める効果は増すのである。強制(抑止と強要を含む)が、実際に戦争を戦う決意を競うことで相手から譲歩を引き出そうとする戦術であることを踏まえれば、物理的な戦争準備が十分整えられていることは、依然として、交渉による勝利を目的とすることと矛盾しないのである。

(後編「危機交渉における『弱さを偽る』戦略(下)——明確な脅しを欠いたロシアによる危機交渉の論理」に続く)

Profile

  • 本山 功
  • 政策研究部防衛政策研究室
    研究員
  • 専門分野:
    数理政治学、安全保障論、危機交渉(抑止・強要)