国際交流

アジア太平洋地域の連携を図るために

国際交流は近年急速に拡大しています。防衛研究所は、防衛省の防衛交流・安全保障対話の一翼を担う機関として、また地域の安全保障コミュニティの一員として、安全保障環境の改善や一層の安定化に貢献しています。

防衛研究所は安全保障シンクタンクとして、各国の安全保障・国防研究機関との間で定期的な相互訪 問等により研究会・意見交換を積極的に推進しています。国防大学相当機関としては、教官の相互派遣 による講義の実施、教育課程研修団の相互訪問、多国間の国防大学校長会議への参加などを進めています。 さらに、諸外国の国防大臣、参謀長、国防大学校長といった政府・軍高官の訪問も数多く受け入れています。

また、海外の研究者・専門家を研究会の講師として招へいしたり客員研究員として受け入れることや、 防衛研究所の研究者による外国調査出張や国際会議参加、在外研究を通じて、防衛研究所の調査研究の向上とネットワーク構築を図っています。

防衛研究所は、これまで蓄積してきた研究成果や各分野の専門家が持つ研究能力を活用して、深みのある交流を行い得る点に強みがあります。 同時に、政策研究を基盤に持つ防衛研究所が行う研究会、国際会議は、政策立案にも貢献するものとなっています。

フォトニュース 2016年1月
第7回アジア太平洋安全保障ワークショップ 2016年1月

多国間の国防大学校長等会議への参加

防衛研究所は、1997 年(平9)の第1 回会合以来、ARF 国防大学校長等会議のメンバーとして、毎年会合に参加しています。2001 年(平13)に東京で行われた第5 回会合は防衛研究所が主催しました。 また、2009 年(平21)からはNATO 国防大学校長等会議にも参加しています。

ARF国防大学校長等会議
ARF国防大学校長等会議 2015年9月

研究交流・教官交流

米国

同盟国である米国との安全保障政策面での協力関係の強化に資するため、国防大学の国家戦略研究所(INSS)との交流を実施しています。米国とは日常的に、政府機関やシンクタンク、大学の専門家との間で意見交換や研究会の機会があります。

韓国

国防大学校、韓国国防研究院(KIDA)との間で、互いの教官による講義の他、研究会や研修団の訪問を行っています。 また国防部軍史編纂研究所との戦史研究に関する交流もあります。

中国

人民解放軍国防大学との間で、教官派遣による講義の他、研究会や研修団の訪問を行っています。 また、2009 年(平21)の日中防衛首脳会談の共同プレス発表に基づき人民解放軍の最高研究機関である軍事科学院との交流強化を進めています。

オーストラリア

国防大学及び戦略政策研究所(ASPI)との間で、研究会、講師の派遣、研修団の相互訪問、客員研究員の相互受け入れの実績があります。 また、オーストラリア国立大学(ANU)との共同研究の実績もあります。 安全保障政策面での日豪関係の発展に伴い、研究・交流面での関係も強化されています。

東南アジア

東南アジア諸国が抱える安全保障上の課題について相互の理解と信頼を深めることを目的として、国防省関係の研究機関や民間研究機関との交流を実施しています。 2010 年(平22)にベトナム国防省の国防国際関係研究所(IDIR)と、2013 年(平25)にはミャンマーの国防大学と交流を開始しました。

インド、パキスタン

インド防衛研究所(IDSA)との交流を実施しています。 この交流は、2008 年(平20)に両国首脳間で合意された日印安全保障共同宣言及び2014 年(平26)に締結された日印防衛協力・交流に関する覚書の一環として行われるものです。 パキスタンとも2012 年(平25)に国防大学と交流を開始しました。

中東

「アラブの春」以降、流動化・不安定化の傾向を強め、特に近年、イスラム国などのイスラム主義過激派の脅威に直面している中東地域諸国の国防大学や研究機関との交流を2014 年(平26)に開始しました。

モンゴル

2014 年(平26)に国防大学との交流を開始しました。国防大学国防研究所(IDS)に加え、国家安全保障会議戦略研究所(ISS)とも交流実績があります。

ロシア

参謀本部軍事戦略研究センター及び参謀本部大学との間で、互いの教官による講義や研究会を実施しています。

欧州

欧州の多数の安全保障研究・教育機関との間で、研究者や研修団の相互訪問、意見交換・研究会を実施しています。 近年の例では、スウェーデン国防研究所(FOI)や英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)と共同研究を実施し、 共同でワークショップを開催したり、報告書を刊行したりしています。 また、2013 年(平25)の安倍総理とラスムセンNATO 事務総長による共同政治宣言にみられるような日・NATO 間の安全保障協力を強化する取り組みを受けて、NATO 国防大学との交流を開始しています。

カナダ

2010 年(平22)に開始したカナダとの交流は王立士官学校(RMC)を主な相手方としています。 他にカナダ国軍大学(CFC)などとの交流実績もあります。

研究者の海外派遣·海外研究者の受け入れ

防衛研究所の研究者を海外の研究機関や大学に派遣するとともに、海外から安全保障分野の研究者を客員研究員として受け入れています。 また、防衛研究所の費用負担によって海外から研究者を招へいするフェローシップ制度を立ち上げました。 こうした人的交流は、防衛研究所の研究・教育の質の向上に寄与し、ネットワーク構築に資するものであることから、積極的に行っています。

国際会議の主催

防衛研究所は毎年、安全保障、戦史に関する国際会議を主催しています。学術的なテーマばかりでは なく、国際的あるいは地域の問題、政策上の課題など幅広く時宜を得たテーマを扱うことが特徴です。

安全保障国際シンポジウム

1985 年(昭60)に国際円卓会議として始まり、1999 年(平11)に現在の名称に改称されました。 防衛研究所が主催する国際会議の中で最大のものです。 毎年、国内外から著名な有識者を招へいし、講演、プレゼンテーション、パネルディスカッションを行っています。 一般公開のシンポジウムであり、聴講者は政府・軍関係者から研究者・専門家、報道関係者、一般の方々まで多岐に及びます。 広く安全保障問題についての理解を深めていただく意味でも重要な活動となっています。

国際安全保障コロキアム

1999 年(平11)以来、防衛研究所は、国際安全保障コロキアムとして、海外の有識者と防衛省の専門家との間で、高度で専門的な討議を行う研究討議会を毎年開催しています。

戦争史研究国際フォーラム

2002 年(平14)、戦史に関して多角的な視点から再検討を行うことを目的として開始されました。 このフォーラムは、各国の研究者が戦史に関する研究成果を発表し、戦史に関する知見の交換さらには相互信頼の向上を狙いとしています。

各会の詳細については「イベント」をご覧ください。

安全保障国際シンポジウム 2015年11月
安全保障国際シンポジウム 2015年11月