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アジア・太平洋諸国安全保障セミナー

議長総括 第12回アジア・太平洋諸国安全保障セミナー

於 防衛研究所 2005年11月14日~22日

  1. 第12回アジア・太平洋諸国安全保障セミナー(APSS)は東京において以下の21ヶ国からの代表を得て開催された。
    オーストラリア連邦、ブルネイ・ダルサラーム国、カンボジア王国、カナダ、中華人民共和国、インド、インドネシア共和国、日本、大韓民国、ラオス人民共和国、マレーシア、モンゴル国、ミャンマー連邦、ニュージーランド、パキスタン・イスラム共和国、パプアニューギニア独立国、フィリピン共和国、ロシア連邦、シンガポール共和国、タイ王国、アメリカ合衆国
  2. APSSの研究会は、4つの部分から構成された。すなわち、導入セッションとセッションIからIIIである。導入セッションにおいては、基調講演として立教大学の伊勢崎賢治教授が、戦争で引き裂かれた国々において軍隊が直面している課題、すなわち武装解除、動員解除及び社会統合(DDR)に ついてその実態を明らかにした。また、参加者は我が国の安全保障対話の取り組みや、変革の時代における新防衛計画の大綱及び防衛力の態勢に関する説明を受けた。
  3. セッション1から3において、討議議題は各セッション一つずつ設定された。すなわち、災害援活動における軍の役割、紛争後の復興支援における軍の役割及び将来の課題と地域協力である。
  4. セッションIにおいて、参加者は2004年12月のインド洋津波災害における被災国及び支援国の経験を共有した。津波による荒廃のために、災害救援活動に対処するために国際協力は必要とされた。各国軍隊は、国際機関、地方自治体、NGO等の多くのアクターと協同しなければならなかった。
    輸送のための資源と能力の分散、救援物資に関する需要と供給の調整及び医療介護の提供において民軍調整は重要であった。
  5. 参加者は、災害救援活動における調整は、被災国の同意の下になされるべきであることに同意した。軍の主要な役割は、被災地域の復旧であるので、被災地への軍の早期な派出は重要である。
  6. セッションII及びIIIにおいて参加者は、紛争後の復興支援における軍の役割と災害救援における軍の役割を比較した。戦争で引き裂かれ社会においては、中央政府はほとんど存在せず、そしてこのことが民軍調整をさらに複雑で困難なものにしている。紛争後の復興支援において、軍隊は法秩序の維持、治安の維持及び敵対し合っていたグループ間の和解の促進という、より多様な責任を取らねばならない。
    これらの新しい任務を遂行する上で軍隊には、紛争前の教育訓練が必要とされるであろう。参加者の中には、任務を効果的に遂行するためには、受け入れ国と国際社会からの支援が重要であることを強調する者がいた。
  7. 参加者は、これらの新しい課題に対応するためにはアジア・太平洋地域諸国間における安全保障対話の促進の継続が必要であることに同意した。数ヶ国から、災害救援と紛争後の復興支援における専門的知識等のネットワーク化の必要性が強調された。また、多国間協力のための標準運用規定の作成を提案した参加者もあった。
  8. 第12回APSSの成果を次回のASEAN地域フォーラム(ARF)国防大学校長等会議に報告することについて同意された。多くの参加者はそれぞれの政府に対し本セミナーの成果を報告することについて同意した。

注: APSSは参加国相互の信頼醸成のための多国間安全保障対話として1994年以降毎年開催されており、その基本目的はASEAN地域フォーラム(ARF)国防大学校長等会議の目的と多くの点で共通しており、第11回APSSの実施概要は、本年10月にベトナムで開催された同会議で配布された。
APSSプロセスは発足以来、幅、深さの両面で安全保障対話を充実させてきた。1994年に13ヶ国の代表を招いて開始されたAPSSは、いまや21ヶ国を招待するようになっており、参加者は国防計画やその他の安全保障問題に関して豊富な経験を有する大佐または中佐がほとんどである。

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