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アジア・太平洋諸国安全保障セミナー

議長総括 第11回アジア・太平洋諸国安全保障セミナー

於 防衛研究所 2004年11月16日~23日

  1. 第11回アジア・太平洋諸国安全保障セミナー(APSS)は東京において21ヶ国から30名の代表が出席して開催された。APSSは参加国相互の信頼醸成のための多国間安全保障対話として1994年以降、毎年開催されている。その基本目的はASEAN地域フォーラム(ARF)国防大学校長等会議の目的と多くの点で共通しており、第10回APSSの議長総括は、本年9月にシンガポールで開催された同会議で配布された。
  2. APSSのプロセスは発足以来、安全保障対話を幅と深さの両面で充実させてきた。1994年に13ヶ国の代表を招へいして開始されたAPSSは、いまや21ヶ国を招待するようになっている。参加者は、国防計画や関連する安全保障問題について豊富な経験を有する大佐または中佐クラスの将校がほとんどである。
  3. 第11回APSSの研究会は、導入セッション及びセッション1~3の4つのセッションから構成された。導入セッションでは、明石康・元国連事務次長から、基調講演があった。我が国の安全保障上の問題についての理解を深めるため、日本の防衛政策及び自衛隊の現状に関する発表を行った。
  4. セッション1では、大量破壊兵器の拡散防止に関する小川伸一・防衛研究所研究部長による講義に引き続き広範囲にわたる討議を行った。セッション2ではテロリズムに関する、片山善雄・防衛研究所第3研究室主任研究官の講義に引き続き討議を行った。
  5. それぞれのセッションにおいて、参加者は3つのグループに分かれ、以下 の項目に関して討議を行った。(1)脅威の本質、(2)脅威に関する共通認識、(3)脅威への対策、(4)対策における問題、(5)安全保障協力に対する協議事項。
    それぞれのグループは討議の要約を提出するとともに、セッション3の全 体討議において発表を行った。
  6. 拡散防止の問題に関しては、将来の拡散防止体制、拡散防止体制の問題点、拡散に対する安全保障構想(PSI)をめぐる評価、問題解決のための動機 付けと圧力の組み合わせが討議項目としての提案がなされた。多くの参加者は、拡散防止体制は、極めて重要であり、検証メカニズムを含めて強化されるべきであることに同意した。他の参加者は、拡散防止のための安全保障環境の改善の必要性について強調した。前回のAPSSに比し、PSIに対するより広範な支持を得られるようになっている。動機付けと圧力の組み合わせが成功するかどうかは、域内各国の相互信頼の程度に依存している。
  7. テロリズム問題に関しては、軍隊と警察間の協調、情報共有の促進及び対処能力の構築が討議された。参加者は、テロリズムと闘うためには、テロの国家間を跨ぐ本質から、多国間のアプローチが必要とされることに同意した。テロに対処するためには各国国内における軍事組織も含んだ関係機関による包括的な協同が必要不可欠である。テロリストのネットワークは分散しているため、地域的な又国際的な関係機関間の協力もまた重要である。加えて情報の共有は、テロリストの活動を防止するために大いに寄与している。
  8. 結論として参加者は、拡散防止及びテロリズムに対する共通の安全保障認識を涵養することの重要性を強調した。参加者は、WMDと破綻国家や、非国家主体との結びつきは、重大な脅威の一つであり、これらに対応するためには安全保障協力の強化が必要であることに同意した。参加者は、安全保障対話と協力のためのプラットフォームとしてARFを高く評価するとともに、地域のメカニズムの強化を要望した。
  9. 参加者は、能動的かつ建設的に討議に関与した。全ての参加者は、アジア 太平洋諸国間の安全保障の関心事に関する安全保障対話と専門意見の交換を促進させることに同意した。
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