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アジア・太平洋諸国安全保障セミナー

議長総括 第10回アジア・太平洋諸国安全保障セミナー

於 防衛研究所 2003年11月16日~29日

  1. 第10回アジア・太平洋諸国安全保障セミナー(APSS)は東京において19ヶ国から28名の代表が出席して開催された。APSSは参加国相互の信頼醸成のための多国間安全保障対話として1994年以降、毎年開催されている。その基本目的はASEAN地域フォーラム(ARF)国防大学校長等会議の目的と多くの点で共通しており、第9回APSSの議長総括は、本年インドで開催された同会議で配布された。
  2. APSSのプロセスは発足以来、安全保障対話を幅と深さの両面で充実させてきた。1994年に13ヶ国の代表を招へいして開始されたAPSSは、いまや約20ヶ国を招待するようになっている。参加者は、国防計画や関連する安全保障問題について豊富な経験を有する大佐または中佐クラスの将校がほとんどである。
  3. 第10回APSSの研究会は、導入セッション及びセッション1~3の4つのセッションから構成された。導入セッションでは、我が国の安全保障上の問題についての理解を深めるため、日本の防衛政策及び自衛隊に関する発表を行った。
  4. セッション1では、17ヶ国(日本、ミャンマーを除く)からそれぞれの国の防衛政策が発表された。このセッションでは、アジア・太平洋地域の地理的広さ及び歴史的、文化的、宗教的背景の多様性のため、複雑な地域であることに同意した。
  5. セッション2では、「アジア・太平洋地域における安全保障協力の推進」というテーマで武見敬三参議院議員から基調講演があった。武見氏は安全保障の3つの柱、すなわち「国家安全保障」、「協調的安全保障」及び「人間の安全保障」について説明した。武見教授の分析は社会的不安定やその影響がテロリストの活動に与える影響といった、ともすれば忘れられがちな安全保障上の課題に光を当てた。
  6. セッション3では、参加者は2つのグループに分かれ、次のテーマについて発表を行った。(1)「伝統的な軍事あるいは安全保障分野、テロリズム対処、演習、警察と軍の関係において、いかに安全保障協力を推進するか。」(2)「上記の分野において我々は何ができるか」について
  7. このセッションでは、国内外の両面におけるテロリズム対処の方法に特に関心が払われた。テロリズムとの戦いに関する提案には、情報共有の強化、警察と軍隊の協力、国境を越えた政策協調などが含まれた。一部の参加者から、情報の共有は大国による情報の独占に繋がるとの懸念が表明された。
  8. 安全保障協力を推進するために、国防大臣級によるアジア太平洋安全保障メカニズムのようなより強力な多国間の制度を提案する参加者もあった。 また、公式の国防大臣級会合の定期開催を主張する参加者もあった。これに対し、ARFなどの既存のメカニズムの活用を図るべきであり、それにより貴重な資源の消費が避けられるとの主張もなされた。
  9. APSSプロセスの強化という点について、参加者は第10回APSSの議長総括が次のARF国防大学校長等会議で提出され、かつ防衛研究所の情報交換のためのウェブサイトに掲載されることに同意した。
  10. 総合討議では、参加者は安全保障協力の推進のために必要なことは、今や 参加国間の対話のみでなく共同行動であるということに同意した。例えば多国間の演習はこうした面で中心的な役割を果たすかもしれない。
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